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マイリトルポニー未来編

第一話


ここはご存知。ポニーメトロポリス!
昔は「ポニーヴィル」と呼ばれる小さな町だったのですが
数十年が経って、大きなビルが立ち並ぶ大都市になりました。
ポニーたちはみんなスーツを着て、忙しそうです。
おや?
一匹のポニーがスーツの波をかき分けて、走っていきます。

「大変、今日は入学式だったのに、寝坊しちゃった!」

彼女の名前はスターライト・トゥインクル。
少しだけおっちょこちょいなユニコーンの女の子です。
彼女は今日、「恵まれたユニコーンのためのトワイライト学園」に入学するのです。

(でも、夢みたい! ずっと憧れていたプリンセス・トワイライトの元で勉強できるなんて!)

プリンセス・トワイライト。
彼女はエクエストリアを統治している王女様。
日の出や日の入り、日中の時間などを季節に合わせて調整しています。
彼女はとても頭がよく、魔法の力にも長けているのです。
そんな彼女の元で学ぶということは、とてもとても光栄なことなのです。

スターライトは記述試験こそ最後から三番目でしたが
プリンセスとの面接で気に入られ、なんと入学が決まってしまいます。
そしてプリンセス自らが教鞭を取るクラスへ入ることになったのです。

(魔法も勉強もまだまだだけど、これから頑張らなくちゃ!)

スターライトは張り切って駆け抜けていくのでした。

そんなスターライトが通り過ぎていった一つのビルの中から
素晴らしいデザインのスーツを着た一匹のポニーが出てきました。
彼女は「デザイン新時代の育て親」こと、デザイナーのラリティです。

ラリティは今、エクエストリア各地に自分のビルを持っていて
斬新かつ繊細なデザインのドレスやスーツを作ることで有名です。
今日もこのビルで、新しいドレスの発表会を済ませてきたところでした。
ラリティがビルの前で立ち止まると、すぐさまラリティ専用の馬車がやってきます。
どうやら若いオスのドラゴンが馬車の操者を務めているようです。

「ラリティ、次の予定は?」

「そうねスパイク。今日は午後に予定があるから、仕事はもう入っていないの
 でもどうせだから、午後に向けてスパにでも行こうかしら
 いつものとこまでお願いね」


馬車が去っていった後、道路を通っていったのは沢山の牛たちでした。
彼女らは今から、“彼女らの”スパに行くのです。
そのスパには一匹の可愛らしいポニーがいて、ポニー以外の動物たちのケアをしています。
そのポニーは動物が大好きで、動物たちもそのポニーが大好き。
だからそのスパには毎日、長い長い長蛇の列が続きます。
昨年度に「社会に貢献したポニー賞」を受賞しましたが
恥ずかしがり屋なので表彰式には出ませんでした。

「さぁ早く、スパに行きましょう」

「ええ、フラッターシャイのマッサージは効くのよね〜」

牛たちは笑顔で道路を走っていきました。

その頃、ポニーメトロポリスの近くの山にあるリンゴ農園では、リンゴの収穫が行われていました。
今では収穫も機械で自動化されているのですが、その中に一匹のポニーが混じっています。

「今日のリンゴも、みんな美味しそうだ! これを食べればみんな笑顔になれるだろうね!
 さ、早く収穫して色々なところへ送らなきゃ!」

彼女はこの農園の主で、兄と妹と共に農園を経営しています。
今やこの農園のリンゴはエクエストリア一!
エクエストリアに出回っているリンゴのほぼ全てがこの農園のリンゴです。
ちなみに農園の主自ら収穫していたリンゴは「グラニースミス」という種のリンゴで
彼女の亡くなったお婆さんの名前からきているそうですよ。
これの味は格別で、高級なので、主自ら収穫するそうです。
カウボーイハットのシールがついたリンゴは今日も各地へペガサス航空で輸送されていきます。

荷物を持って空を飛ぶペガサスを、ポニーメトロポリスでは一匹のポニーが見上げていました。

「うぅ〜! 凄く速いのね! 背中に乗ったら楽しそう!」

「ちょっと社長、遊んでないで仕事してください!」

ここはパーティーの企画・運営から会場の飾り付けまで行う会社です。
元は小さなケーキショップだったのですが、段々とパーティー専門の会社へ変わっていきました。
勿論今でも、社長自ら作ったカップケーキを販売しているんですけどね。

「もう会場の飾りつけは終わったよね! じゃあ後はパーティーの時間を待つのみ!
 すっご〜く楽しみ! フゥー! 待ちきれない!」

「社長、飛び跳ねないでください! そもそもこのパーティはプリンセス・トワイライトの
 即位十二周年の四ヶ月目パーティーですよ! あなたが主役じゃないんですけど!」

「残念ね! 今日は私も主役主役主役主役! 主役なの!」

社長と呼ばれたポニーは秘書の言葉に耳も傾けず
ピンク色のたてがみを揺らしながら飛び跳ねているのでした。

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